ご挨拶
第39回 日本小児外科学会秋季シンポジウム

会長 臼井 規朗
大阪母子医療センター 小児外科
このたび、九州大学医学部百年講堂におきまして、第39回日本小児外科学会秋季シンポジウムを開催させていただくことになりました。本学会の伝統ある学術集会である秋季シンポジウムを担当させていただく機会をいただき、誠に光栄に存じます。
今回の主題は『小児外科領域における感染症対策』です。これまで秋季シンポジウム委員会でも繰り返し本テーマの重要性が議論されてきましたが、2020年初頭から新型コロナウイルスがパンデミックを呈して以降、小児外科領域でも感染症対策の重要性が再認識されるようになりました。
感染症への対応は多くの医療分野で避けて通ることはできず、小児外科領域においても例外ではありません。小児外科における最も身近な感染症は急性虫垂炎や手術部位感染(SSI)ですので、皆さんも日々対応に悩まれていることと思います。かかる日常疾患のみならず、穿孔性腹膜炎や壊死性腸炎における重症感染の制御、うっ滞性腸炎に対する腸内細菌叢の制御など、小児外科固有の疾患に伴う感染症対策を迫られることもまれではありません。予防的・治療的な抗菌剤投与についても近年では薬剤耐性に対する配慮が必須です。私が医師に成り立ての頃は闇雲に、無秩序に抗菌剤が使用されていたように思いますが、今ではエビデンスに基づいた抗菌剤の使用が一般的で、各施設には感染制御チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)が設置されていることと思います。加えてわが国における新型コロナウイルスの感染拡大は、小児外科診療に対して直接的・間接的に大きな影響を及ぼしました。これらの経験をふり返って検証し総括することは、今後発生するかもしれない同様の事態に対する大きな備えとなるでしょう。
秋季シンポジウム当日は、小児外科領域における様々な感染症に対する対策を多角的に議論していただき、今後のより良い小児外科診療に向けた実りある議論ができればと考えております。できるだけ多くの方々に現地参加して議論していただきたいと願っていますが、遠方で参加しにくい方々にもWebを通じて参加していただき、一人でも多くの小児外科医が学び考えるシンポジウムにしたいと考えています。皆様のご協力を得て充実したシンポジウムになりますよう準備してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
第42回 日本小児内視鏡外科・手術手技研究会

会長 廣瀬龍一郎
福岡大学 呼吸器・乳腺内分泌・小児外科
このたび、PSJM2023の一環として第42回日本小児内視鏡外科・手術手技研究会を開催させて頂くことになりました。歴史と伝統あるこの研究会を担当させて頂くことは身に余る光栄であり、会員の皆様に感謝申し上げます。
今回の研究会では、テーマを「小児外科手術の今を見つめ新標準術式を模索する」としました。この30年間、外科手術における内視鏡外科の適用拡大はすさまじく、小児外科領域においても多くの手術に適用されてきました。中には手術アプローチが大きく変わり、標準術式となったものも多く見られます。この研究会では古い手術からの変遷を見てきた世代と、最初から新しい術式を経験していく世代とが一緒に、令和5年時点の標準術式や手術手技を模索し議論する機会にしたいと考えております。
要望演題としては、
1: 内視鏡外科における解剖の再認識と手技の工夫
2: 開腹・開胸・内視鏡手術における縫合法、吻合法の現在
3: 食道閉鎖症Long gap症例の治療戦略
4: 手術手技の伝承の工夫
の4つを挙げさせていただきました。他にも小児外科疾患と手術手技に関する演題を広く募集いたしますので、ふるってご応募いただきますようご協力の程よろしくお願いいたします。
コロナウイルス(COVID-19)の感染流行は、未だに先が見通せない状況であり、2023年秋の本会でもハイブリッド開催を予定しております。パンデミックの一日も早い終息を祈るとともに、秋の福岡へ多くの皆様にお越しいただき、熱気のある学術集会となることを心より願っております。
第33回 日本小児呼吸器外科研究会

会長 奥山 宏臣
大阪大学 小児成育外科
テーマ:「小児呼吸器外科疾患の長期予後」
「嚢胞性肺疾患の病因に迫る!」
この度は歴史と伝統ある日本小児呼吸器外科研究会の第33回会長を務めさせていただきありがとうございます。大阪大学関連では、1997年11月7日第8回(岡田正会長)以来の2回目となります。呼吸器外科は小児外科の中でも腹部外科と並んで重要な領域で、肺・縦隔、気道、横隔膜、胸郭と成人とは異なる様々な疾患が手術の対象となります。それだけに毎年のように新しい手術方法や疾患概念が提案されています。
昨年の第32回研究会(金森豊会長)では主題として「先天性嚢胞性肺疾患の長期予後、特に手術治療を行わない場合の経過について」が取り上げられました。成人外科の先生による成人の嚢胞性肺疾患のご発表もあり大変勉強になりました。今回の主題は昨年を引き継ぎ「小児呼吸器外科疾患の長期予後」としました。今年は、非手術例の長期予後に加えて、手術例における胸郭変形や呼吸機能を含めた長期予後について各施設のご経験を発表いただけましたら幸いです。もう一つの主題は、「嚢胞性肺疾患の病因に迫る!」としました。近年、嚢胞性肺疾患の病変部における遺伝子解析が進み、疾患の発生機序が徐々に明らかになりつつあります。今回は、病理や放射線画像所見など、多方面からその病因に迫る予定です。従来のStocker分類との違いや各疾患群の病因に関する新しい知見をupdateできればと思います。
福岡で開催されるPSJMに参加して開催予定です。ハイブリッド方式ですが、多くの皆様に現地にお集まりいただき意見交換できる実りある研究会にしたいと思います。ご協力・ご支援のほどどうぞよろしくお願い致します。
第52回 日本小児外科代謝研究会

会長 福本 弘二
静岡県立こども病院 小児外科
このたび、第52回日本小児外科代謝研究会を担当させて頂くこととなりました。伝統ある本研究会では、毎年小児の栄養・代謝に関する最前線の議論が繰り広げられておりますが、今回のテーマは『難治症例に対する集学的管理:新規薬剤とチーム医療の役割』と致しました。
難治症例の治療は、今も昔も変わらぬ課題だと思いますが、テデュグルチド(レベスティブ®)の登場により、短腸症候群の管理には転機が訪れようとしているのかもしれません。また、NSTは小児にも広く普及しましたが、近年では腸管リハビリテーションチームの活動も盛んになってきております。
今回の要望演題は、難治症例を軸として、「テデュグルチドの使用経験とその効果」「NST・腸管リハビリテーションチームの活動」「難治症例の提示」とさせて頂きます。また、その他の一般演題もご応募頂けると大変ありがたいです。看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師などコメディカルの方々からの演題も大歓迎ですので、多くの皆様のご参加を賜れれば幸いに存じます。
第79回 直腸肛門奇形研究会

会長 家入 里志
鹿児島大学 小児外科
歴史と伝統のある本研究会を当番会長として担当させて戴くことを大変光栄に存じます。今回は日本小児外科学会秋季シンポジウム、PSJM2023の共同開催の中で開催させていただくことになり、第42回日本小児内視鏡外科・手術手技研究会の会長である廣瀬龍一郎先生、第39回日本小児外科学会秋季シンポジウム会長の臼井規朗先生、また事務局梅田聡先生に多大なるご尽力を賜り、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
鎖肛を中心とする直腸肛門奇形は小児外科を代表する疾患の一つであり、小児外科医を志す者は誰しも手術と長期フォローを担当することになります。病型診断と手術の成否がその後の排便機能とQOLに大きく影響するという意味で、もっとも小児外科らしい疾患であり、かつ小児外科医の真価と本分が問われると考えています。
直腸肛門奇形の多くが瘻孔を有する病態であり、手術に際してはいろいろなアプローチでその瘻孔処理を行うことになります。そこで今回の研究会ではテーマを「瘻孔処理の工夫・こだわりとその成績」とさせていただきました。開腹で腹腔側から、会陰側から、後方矢状切開から、そして腹腔鏡でのアプロ―チと各施設で、伝統的あるいは改良された瘻孔処理の方法があろうかと思います。それらの工夫と成績に関して、多くの演題発表いただけることを期待しています。また特殊な病型や、必ずしも瘻孔処理が上手くいかず、遺残瘻孔・再発を含めた再手術・リカバリーなどの経験も共有していただけることをお願いいたします。
登録事業は重要な本研究会の業務であり、登録集計と症例検討も研究会に合わせて行われます。特に若い先生方にはこの症例検討にも積極的にもご参加いただき、病型分類に関する知識を深められ、その後の診療にお役立ていただければと思います。
多数の先生方の演題発表とご参加により実り多い研究会となりますよう心よりお願い申し上げます。
第27回 日本小児外科漢方研究会

会長 尾花 和子
日本赤十字社医療センター 小児外科
このたび、第27回日本小児外科漢方研究会を担当させていただくことになりました。この数年、感染症対策として、学会・研究会の開催方式が見直され、ハイブリッドという新しい形式が根付いてきた中で、福岡でのPSJMの開催にご一緒させていただく形となりましたことを、嬉しく感じるとともに、ご指名くださった会員の先生方に深謝いたします。
近年の低侵襲手術の導入や化学療法、抗菌薬はじめとする新薬の開発、あるいは栄養療法の進歩などにより、小児領域のメジャー疾患に対する診療方針は大きく変化してまいりました。短期的な根治を第一とする治療から、機能温存やQOLの向上を目指す方向となってきたことに伴い、従来の西洋医学のみでは解決のできない体質改善や機能維持のための漢方療法が再認識されています。しかし、多くの臨床医は系統だった東洋医学の知識や学習を経験しておらず、小児外科医も、種々の漢方薬を安全に効果的に使用する方策を得たいと考えていると思います。そのような状況を踏まえて、今回の主題を「小児外科の外来診療における漢方の活用法」とさせていただきました。漢方に詳しい先生も、あまり使いなれない先生も、何を基準に選択し、継続や評価の基準を決めているかなど、日常診療に活かせる内容について、ぜひこの研究会で情報を発信していただき、新たな一手として活かせる知識を勉強させていただける機会になればと期待しております。
私自身は研究会の会長は初めての経験であり、至らない点も多々あるかと思いますが、出身医局である東京大学小児外科やPSJMのほかの研究会の先生方のお力もお借りしつつ、会員の皆様とたくさんの演題について熱い討論ができればと考えております。皆様のお力添えをどうそよろしくお願い申し上げます。